「プロセスチーズ」について

チーズの基礎知識
「ナチュラルチーズ」に続いて
今回は「プロセスチーズ」についてです。

乳酸菌や酵素の力を借りてミルクのたんぱく質を凝固させ、そこから水分(ホエー・乳清)を除いたものが「ナチュラルチーズ」ですが、そのナチュラルチーズを粉砕し加熱して溶かし、乳化させ、再び固めたものを「プロセスチーズ」と言います。

元々は、余ったナチュラルチーズの保存性を良くする為に開発されたものです。
(20世紀に軍隊の保存食としてスイス人によって考案されたと言う説があります)

ナチュラルチーズは微生物が活きている為に、熟成が進むと外観・味・風味などが変わりますが、プロセスチーズは加熱により微生物が無くなる為に熟成せず、味や風味の変化がなく、いつでも均一な味が楽しめます。

また、保存性も高まるので、買い置きもしやすく気軽に楽しめるチーズとして万人に好まれています。

私が子供の頃(昭和生まれです^^)
チーズと言えば「プロセスチーズ」が一般的でした。

学校給食では一人分に小分けされたポーションタイプのプロセスチーズがよく出ていました。
三角の頂点から銀紙を上手に剥がせるかドキドキした記憶もあります。


また、食パンのサイズにちょうど良い大きさのスライスチーズ。
(今現在も人気のチーズですね!)
そのまま食べたり、ハムと一緒にくるくる巻いたり、パンに載せてトーストしたり。。。色々な食べ方を楽しんでいました。

現在では色々なバリエーションのスライスチーズが出ていますね。

加熱して美味しい「とろけるタイプ」
ハンバーガーにとても良く合う「チェダーチーズタイプ」
「モッツアレラ入りのタイプ」
「スモークタイプ」
などなど。
おウチで気軽に美味しく食べられるのは便利で嬉しいですね。

ナチュラルチーズは加熱すると伸びは良くなりますが、たんぱく質・脂肪・水分が分離してしまいます。

冷めてもその分離は元に戻りませんし、ゴムの様な食感になります。

それに比べ、スーパーなどで手軽に購入できる「プロセスチーズ」は、加熱しても伸びにくいのですが、安定性があります。

それは、プロセスチーズを作る過程で使われる、乳化剤(代表的なものではリン酸塩)の作用によるものです。

プロセスチーズを作る過程で高温加熱し、乳化させて冷却させると強固なネットワークが形成され、チーズが安定します。
(その分、加熱しても伸びにくい、と言う事になりますが。。。)

ナチュラルチーズを高温加熱し、乳化させて型に詰めて成型しますので、用途に応じて色々な形にする事が出来、冷めてもチーズが溶けだす事の無い安定した製品が「プロセスチーズ」です。

ヨーロッパではチーズと言えばナチュラルチーズだけを指しますが
「プロセスチーズ」は日本人がチーズに親しむ下地を作ったと言っても過言ではないでしょう。

最近ではナチュラルチーズの人気に押され気味ですが
「プロセスチーズ」は、味が安定していますし、マイルドでクセが無いので、様々な食材と合わせて楽しめます。

また、温度変化にも強いので、ピクニックやお弁当など、外に持って行く時にも重宝します。

現在では、色々なタイプの「プロセスチーズ」が作られています。

ハーブやナッツ・フルーツが入ったもの
スパイスを加えたもの
よりクリーミーな味わいのもの
などなど、日本のプロセスチーズは世界でも珍しい独自の味の変化を遂げています。

気軽に楽しみながら、アイデア次第でお洒落なお料理に変身させるのも楽しいですね!

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする